脳腫瘍は、頭蓋内の組織から発生した原発性脳腫瘍と、ほかの臓器のガンが脳に転移または浸潤した転移性脳腫瘍の二つに大きく分類されます。
原発性脳腫瘍は子供に多いことが大きな特徴で、子供と成人では発生する腫瘍の種類も発生部位も異なります。成人では脳そのものにできる悪性のグリオーマ(膠芽腫・悪性星細胞腫)が多く見られ、ついで脳膜にできる良性の髄膜腫、下垂体にできる良性の下垂体腺腫の3つが全体の7割以上を占めます。また、小児ではグリオーマが50%以上を占めていますが、半数は良性の星細胞腫ですので摘出手術により治ります。
脳腫瘍でもっとも悪性な膠芽腫は脳内で浸潤が著しく、急速に広がりますので、発症後数カ月で死に至る場合もあります。悪性星細胞腫は、膠芽腫と増殖の状態や症状は同じですが、悪性度はやや低いものです。また、グリオーマなどは時間の経過とともに、しばしば良性から悪性に変化します。
脳は血流が豊富なため、全身のガンが転移しやすい臓器です。特に肺ガン、乳ガンなどからの転移が多いようです。肺ガンからの転移は脳実質と呼ばれる脳の内部に、乳ガンからの転移は硬膜などに定着しやすい性質があり、特徴としては転移が複数の場所で認められることがあります。さらに、脳を取り囲んでいる脳脊髄液の中でガン細胞が増殖することもあります。この場合、治療は極めて難しくなります。 |