「第16回天仙友の会」のご報告

4月18日(土)14:00より、中野サンプラザ内の研修室にて管理栄養士の小町みち子先生をお招きして、「がん治療を乗り越える〜食事編」をテーマにしたがん患者さんとそのご家族との交流会「天仙友の会」を行いました。

小町先生の講演の概要は、下記の通りです。

がん細胞が好むものとは何?

●炎症(アレルギー)

炎症が慢性化することでがんの発症につながると言われています。そのため、炎症(アレルギー)検査を受けて、自分の知らなかったアレルギーを知っておくことはとても大切である。 炎症、アレルギーのコントロールによい食べ物は、魚油、腸(乳酸菌、フラクトオリゴ糖)、ネバネバ(ムチン)系のものなどがよい。

●ブドウ糖

がん細胞の数を増やしていくには、莫大なエネルギーの産生と、細胞を構成する成分(核酸や細胞膜など)の合成が必要であるが、がん細胞におけるエネルギー産生と物質合成の主な材料がブドウ糖だからである。
がん細胞がブドウ糖を利用できなくすれば、がん細胞の増殖を抑え死滅させることもできる。正常な細胞はブドウ糖が無くても脂肪を燃焼させてエネルギーを産生でき、脂肪と蛋白質とビタミンとミネラルがあれば細胞を増やし、体を正常に維持することができる。
従って、炎症をコントロールする食事、食材がベスト。例えば、魚油、腸(乳酸菌、フラクトオリゴ糖)、ネバネバ(ムチン)がよい。

がん細胞が嫌う環境とは何?

●熱

がん細胞は42℃以上の温度の環境に生存しにくいと実証されているほか、近年温熱はがん細胞に様々な作用をもたらすほか、放射線や抗癌剤の効果を高めたり、免疫力を高めることも報告されている。

●酵素

2014年2月の熊本大学の尾池雄一教授(分子遺伝学)他の研究グループが、がん転移を促進するタンパク質を切断できる酵素があることを発表された。
私たちの体は、消化酵素(食べた物を消化するための酵素。酵素とは体内の化学反応を助けて活発にする成分)が不足すると、血液の流れが悪くなって、いろいろな病気を誘発してしまう。それを防ぐために、食物酵素(食物が持っている酵素)の豊富な食べ物をとり、酵素を補う必要がある。
また、酵素を多く取り入れることによって、血流がよくなるとも言われている。

ケトン体誘導食とは、がん細胞を兵糧攻めにして、がんが今より大きくならないようにする食事法である。つまり、カロリー補給をブドウ糖からケトン体に変えて、ブドウ糖が大好物のがん細胞は飢餓状態にすることによって、がん細胞が衰退させることでがん細胞の自然死を誘導する。

質疑応答

Q1.下咽頭がんで食道の入り口付近に腫瘍があるため、ムース食を食べている、他に何かよいものありますか?
小町先生:ムース食など柔らかいものばかり食べていると、筋力が弱り嚥下障害を起こしやすくなるので、舌を動かす運動をしたり、または首を回したりするとよいでしょう。また、メディカル・サプリメントを粉砕し流動食にして使用してもよいです。
Q2.以前オリゴ糖を摂取してお腹をこわしたことがあるのですが、オリゴ糖にはどのような種類があるのですか?
小町先生:オリゴ糖には、フラクトオリゴ糖と、ガラクトオリゴ糖がある。体によいフラクトオリゴ糖は、購入すると高いので、ニンニク、玉ねぎ、トマトなどの食品から摂って頂くとよいです。
Q3.果物は朝と夜いつ摂るのが好ましいですか?
小町先生:時間にはいろいろな説があるので、大切なのは食べてみてご自身の体の声を聞いてみてあげてください。また、果物は酵素が多く含まれているものを選んでください。 バナナは、加熱せず生で食べるようにしてください。

今回の友の会を通じて改めて食の大切さ、特に食材や油の選び方などを知ることができて本当に良かったと、私たちスタッフはもちろん、参加者の皆さまからも飲食の重要性の理解ができて、大変ためになったとのお声をいただきました。

会合の最後、小町先生のご好意で、参加者の皆さまにオリジナルの「みそ玉」をプレゼントされ、和やかな雰囲気で会合を終了しました。

小町みち子先生プロフィール

愛知県出身/管理栄養士

東京農業大学卒。武蔵野調理師専門学校非常勤講師。予防医学指導士。代替医療カウンセラー。栄養補助食品指導士。

精神科クリニックにて、栄養療法による精神科医療に従事。また、生活習慣病の食事指導、ダイエットカウンセリングなど多数。フリーに転身後は広汎性発達障害児の回復食を中心に、食材の選び方・食べ方が心や性格に及ぼす影響を伝え、食卓からの心の病気改善に取り組んでいる。

著書に「超カンタン!15分おかず」「脳内汚染・心の病を治す栄養療法」「ちょっとお待ち!危険なダイエット」(監修)がある。